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ジオフロントシステム工学

都市空間や地表の環境保全・有効利用のため、3次元的な視点から新しい空間として地下空間(ジオフロント)の利用が注目されています。環境に配慮した地下空 間の創造・保全・維持管理のために、地表から地下深部に至るまでの地盤・岩盤および地下水の特性(力学的、水理学的)を解明する研究とそれに伴う先端計測 技術の開発、こうした特性の不確実性や社会的要求・コストなどを考慮して地下空間をマネジメントするジオリスクマネジメント研究、さらには両者を組み合わ せ複雑な地盤・岩盤・地下水を総合的に取り扱う複雑系の問題について教育・研究をおこなっています。

研究室ウェブサイト

https://geotech.kuciv.kyoto-u.ac.jp/

教員

三村 衛 ( Mamoru MIMURA )

三村 衛教授(工学研究科)

研究テーマ

大都市が展開するベイエリアの開発に際し、大きな変形を引き起こす海底軟弱地盤の品質を管理するための合理的地盤モデルと解析手法の確立を目指している。また、こうした地盤の状態を把握するために貫入時に地盤の力学特性とともに湿潤密度と含水比を同時にかつ深さ方向に連続的に測定できるRIコーン貫入試験機を開発した。現在では、国内はもとよりシンガポール、中国、中東などで活用される国際的ツールとなっている。また地域の地盤防災の観点から、ボーリングデータに基づく都市地盤情報学を推進し、地盤の堆積環境や地形的な特徴を反映させた都市地盤の脆弱性評価に関する研究を進めている。歴史的地盤遺跡の真正性を担保した修復と保全に関する地盤工学的研究についても取り組んでいる。

連絡先

桂キャンパス C-1クラスター2棟 2階212号室
TEL: 075-383-3304
FAX: 075-383-3307
E-mail: mimura.mamoru.3r@kyoto-u.ac.jp

澤田 茉伊 ( Mai SAWADA )

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助教(工学研究科)

研究テーマ

不飽和土の水分・熱移動と変形に興味があり,これに軸足に置いて,古墳などの歴史的な地盤構造物の自然災害による損傷メカニズムの解明と保全手法の構築に応用しています。遺構では,地震や降雨による力学的安定性の低下や,埋葬空間の温湿度環境に起因した汚損といった問題が複合的・連鎖的に生じています。これらの損傷を不飽和土の変形,浸透,熱伝導の問題に変換し,実験および数値解析による手法を用いて,損傷に至る過程を定量的に説明し,力学的根拠に基づいた対策を提案しています。水分移動が激しく,低拘束圧条件下にある地表の遺構では,従来の地盤工学ではあまり研究されていない課題に度々直面します。これらの課題を追究し,地盤工学の知見を蓄積すると同時に,文化財保全を通じて地盤工学の活用の拡大に貢献することを目標にしています。

連絡先

桂キャンパス C-1クラスター2棟 2階213号室
TEL: 075-383-3306
FAX: 075-383-3307
E-mail: sawada.mai.6c@kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

弾粘塑性構成モデルを用いた軟弱地盤の挙動解析

都市が展開する沿岸・沖合域は軟弱粘土と砂が互層に堆積した構造であるため,沈下や液状化といった問題を起こしやすい地盤となっています。社会インフラの安定的な供用と地盤防災の観点から,地下構造を適切にモデル化し,土-水連成解析により,軟弱地盤の応力~変形挙動を評価することが求められています。

本研究では,都市地盤の諸問題に対し,弾粘塑性構成モデルを用いた有限要素解析によって評価するアルゴリズムの確立を目指しています。関西国際空港の基礎地盤の長期圧密沈下の評価等の実問題へ適用し,人工島と連絡橋の取付部のような三次元での評価が必要な問題にも取り組んでいます。

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地盤情報データベースを用いたサイスミックゾーニング

地盤の災害を正確に予測するためには,地盤構造の適切なモデル化が不可欠です。そこで,物理探査手法と既存のボーリングデータを用いて,地盤の広域な三次元モデルの構築と,これを用いた災害評価に関する研究を行っています。

具体的な事例では,大阪平野において,250 mメッシュの地盤モデルを作成し,数値解析により,動的応答と液状化の予測に取り組んでいます。予測結果は,防災対策に活用できるよう,地図上で視覚的に表示しています。

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河川堤内地の地盤構造のモデル化と浸透に伴う災害評価

豪雨や水害が発生している近年,特に河川堤防や堤内地の浸透に対する地盤の災害評価が重要な課題になっています。本研究では,地盤情報データベースを利用して,堤内地の広域な三次元地盤モデルを構築し,浸透挙動の評価に取り組んでいます。

京都府の木津川流域を対象に,ボーリングから推定される地盤構造と室内試験で得られる各層の透水性をもとに,浸透問題のためのモデルの作成方法を研究しています。さらに,このモデルを用いて,三次元浸透流解析に取り組んでいます。

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不飽和地盤の水分移動のメカニズムの解明と制御

地盤内の水分移動は,力学的安定性の低下や汚染物質の拡散の原因となるため,適切に制御する必要があります。間隙が水で満たされていない不飽和土の浸透特性は,一定ではなく,含水状態によって大きく変化します。浸透特性を室内試験で評価し,数値解析で地盤内の水分移動を予測することにより,排水・遮水を促す方法が研究されています。

砂と礫の層境界で生じる遮水現象である,キャピラリーバリアは,不飽和浸透特性を利用した排水・遮水方法です。降雨実験と再現解析を行い,砂礫の不飽和透水係数の差異は,遮水を定量的に説明する方法のひとつであることがわかりました。遮水性の評価と,バリアの設計法の構築に貢献することが目標です。また,地盤の浅い部分では,浸透だけでなく,蒸発も水分移動に大きく寄与しており,乾燥亀裂や粘着力の喪失といった不安定化の原因になっています。不飽和地盤の水分移動に伴う変形評価に基づき,浸透・蒸発をコントロールする方法を研究しています。

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不飽和土構造物の降雨時不安定化挙動に関する研究

不飽和地盤は,間隙水の表面張力に起因した土粒子間力を有していますが,雨水の浸透により,土粒子間力が弱まると変形が生じます。この過程を詳細に分析することにより,変形のメカニズムを明らかにし,適切な対策を提案することが可能になります。具体的には,土の保水性と,変形特性の飽和度に対する依存性を室内試験で評価・モデル化し,数値解析上で降雨を与えて,変形を予測します。

この手法を用いて,奈良県明日香村の酒船石遺跡の修復に取り組みました。飛鳥時代の遺構で,土砂に埋まっていましたが,1999年の発掘後は,埋め戻さずに露出展示されています。しかし,屋外環境に暴露された遺構はしばしば降雨で被災します。酒船石遺跡の降雨の浸透と変形をシミュレーションした結果,不飽和状態の土が浸潤に伴って土粒子間力を失い,強度や剛性が低下することが崩壊の原因であることがわかりました。また,遺構表層が非常に軟弱であることが崩壊の主な要因であるため,より締固めやすく,透水性の高い材料に置き換えて修復する方法を提案しました。

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飽和盛土の地震による損傷メカニズムの解明と墳丘保全への応用

地震は降雨と共に不飽和盛土に重大な損傷を与える要因です。古墳群は過去の南海トラフ地震などにより繰返し被害を受けてきました。最近では,2016年の熊本地震で大きな被害が出ました。次世代に古墳群を保存するためには,どのようなメカニズムで破壊するかを理解し,耐震性を向上させる方法を研究する必要があります。

本研究は,動的遠心模型実験と再現解析により,この問題に取り組みました。その結果,地震によって墳丘に生じる亀裂は主に引張力に起因すること,また地山が傾斜している場合は,応力集中により致命的な損傷に至ることがわかりました。さらに,石室を構成する石材同士の摩擦が石室の耐震性に大きく寄与することがわかりました。これらの知見に基づき,古墳の耐震補強方法を構築することを目標にしています。

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