地殻環境工学

地殻環境評価と鉱物・水・エネルギー資源の時空間モデリング

資源と共存し、地球環境と調和した持続的社会の構築や地層貯留機能の高度利用などを目的として、地球計測法と数理地質学による鉱物・水・エネルギー資源の分布形態モデリング、地殻ガス・流体の化学的性質と流動現象の解明、地殻の地質・熱・物性の構造推定の高精度化に関する研究を行っています。

教員

小池 克明 ( Katsuaki KOIKE )

koike2023

教授(工学研究科)

研究テーマ

資源と共存し,地球環境と調和した持続的社会の構築や地層貯留機能の高度利用などを目的として,地球計測法と数理地質学による鉱物・水・エネルギー資源の分布形態モデリングと生成メカニズムの解明,地殻ガス・流体の化学的性質と流動現象の解明,地殻の地質・熱・物性の3次元構造推定と広域変動抽出の高精度化に関する地球科学工学的研究を行っている

連絡先

桂キャンパス C1-2 2階215号室
TEL: 075-383-3314
FAX: 075-383-3318
E-mail: koike.katsuaki.5x@kyoto-u.ac.jp

柏谷 公希 ( Koki KASHIWAYA )

准教授(工学研究科)

研究テーマ

連絡先

桂キャンパス C1-2 2階216号室
TEL: 075-383-3315
FAX: 075-383-3318
E-mail: kashiwaya.koki.8a@kyoto-u.ac.jp

久保 大樹 ( Taiki KUBO )

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助教(工学研究科)

研究テーマ

数理地質学による空間分布モデリング,リモートセンシング技術を応用した非破壊・非接触測定システムの開発

連絡先

桂キャンパス C1-2 2階214号室
TEL: 075-383-3319
FAX: 075-383-3318
E-mail: kubo.taiki.3n@kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

リモートセンシングによる地殻構造と物性の推定技術の開発

鉱物・エネルギー資源の分布を明らかにするには、地質構造、岩石・鉱物の種類、物性、化学成分、地殻変動パターンなど、広範囲にわたる静的・動的な地質情報が必要となります。そのためにリモートセンシング技術を応用し、分光反射・放射と散乱情報から地質・物性の空間分布を推定する手法、および合成開口レーダ画像の干渉処理によって地形変化を高精度に抽出する手法などの開発を行っています。 

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VIGS変動係数から示唆される鉱床有望部(茶色)と実際の鉱床の位置:秋田県北鹿・黒鉱鉱床域

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ASTER画像を用いた鉱物指標分布(左)とALOS PALSARの偏波データから計算された地表面粗度分布(右)

 

地球化学的指標およびシミュレーションを用いた地殻流体の流動状態の解明

 地殻における流体の流動現象は、様々な地球資源を利用したり環境問題に対処する上で重要となります。例えば、重要な水資源である地下水の持続的な利用のためには、帯水層の空間的広がりや地下水の涵養・流動・流出状態を踏まえた適切な資源管理が必要となります。また、地熱資源を開発し、持続的に利用するためには、地下の熱水や蒸気といった地熱流体の流動状態の把握が重要です。

 当研究室では、地殻流体の流動状態の理解のため、流体の化学組成や同位体組成といった環境トレーサーを駆使するとともに、地球統計学的手法を活用した水理地質構造のモデル化、地下水流動、物質移行のシミュレーションを行うことで,地殻流体の流動状態を高精度に把握・予測する手法の構築を進めています。

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地球統計学を用いて作成した京都盆地の水理地質モデル(左)と本モデルによる地下水流動シミュレーションの結果(右)

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地下水流動解析と物質移行解析から得られた1953年時点の地下水のトリチウム濃度分布

 

地殻構造の高精度探査技術の開発

リモートセンシングなどによる地質情報や、地球化学調査に加えて、電気・磁気などを用いた地殻構造調査技術の開発を行っています。陸上の活断層調査や、地熱資源(熱水貯留層)の探査、海底下の資源(石油・天然ガス・メタンハイドレート・海底熱水鉱床等)の探査などにおいては高精度の地下探査技術が欠かせません。コンピュータを用いた新たなデータ解析技術や地下構造モデリング技術を開発し、地質構造などと組み合わせつつ、より詳細に地下を可視化する技術を模索しています。また観測機器の開発も行っており、実際に海底で資源探査を実施しています。

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人工電流源海底電磁探査の概念図

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沖縄沖熱水噴出地域での海底下比抵抗構造。新たに開発した観測機器・インバージョン法により可視化に成功。C1 ~C3は地下の熱水や海底熱水鉱床の存在を示唆。

 

地質物性のマルチスケールモデリングと応用

 鉱物・エネルギー資源の胚胎地域の特定やその開発においては、地質構造や関連する各物性の変化を把握することが重要です。また、その対象は目的に応じてmm単位のミクロからkm単位のマクロまでのマルチスケールに及びます。

 地球統計学的手法を用いた3次元モデリングや各種数値シミュレーションだけでなく、現地調査など実測による物性の定量評価を行い、さらにこれらを統合することによって地質構造や地下物性の空間的分布の解明、および鉱床成因の特定や開発による将来予測などに応用しています。

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地球統計シミュレーションを用いた岐阜県東濃地域の3次元亀裂分布モデル

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インドネシアWayang Windu地区におけるラドン測定の様子と測定結果

 

 

研究室ウェブサイト

http://www.geoenv.kumst.kyoto-u.ac.jp/