耐震基礎

1995年、阪神・淡路大震災という戦後最大となる地震災害を私たちは経験しました。将来起きるとされる南海・東南海地震に向けて地震活動期に入ったと言われる西日本では、今後もこのような強い揺れをともなう地震が発生することを否定することはできません。地震災害から人的・経済的な被害を軽減するためには、「なぜ被害が発生したのか?」といった被災原因の分析や、地震が発生してから構造物が被害を受けるまでの幅広いプロセスを理解した上で合理的な対策を講じることが必要です。

本研究室では、地震災害における構造物の被害メカニズムを理解するために地震の発生から構造物の応答までの幅広い領域を対象とした研究を行い、さらに耐震化技術へ応用する技術についての研究を行っています。

教員

澤田 純男 ( Sumio SAWADA )

澤田 純男教授(防災研究所)

研究テーマ

地震学と地震工学との知見を融合して、そのどちらにも貢献できる研究をおこないたいと考えています。不均質な地盤内での散乱を考慮した地震動伝播特性の解明や、設計地震動モデル化のためのシミュレーション法や地震動の位相特性に関する研究、耐震設計技術の高度化のための技術開発などをおこなっています。

連絡先

宇治キャンパス本館 E-427D
E-mail: sawada@catfish.dpri.kyoto-u.ac.jp

後藤 浩之 ( Hiroyuki GOTO )

後藤 浩之准教授(防災研究所)

研究テーマ

地震工学を中心に地震学との横断的な研究を進めています.地震動に及ぼす深部地盤構造の3次元的な影響についての事例研究,効率的かつ高精度な動力学震源破壊シミュレーション手法の開発などを行っています.

連絡先

宇治キャンパス本館 E-421D
E-mail: goto@catfish.dpri.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

地震動の発生・伝播メカニズムの研究

地震時に私たちが感じる揺れは、地震が発生してから地中を波が伝播して足元の地盤を揺らすまで、長いプロセスを経たものです。このプロセスの間に様々な影響が受けることになるので、地震の揺れは、それぞれの地震、それぞれの場所によって異なる特徴を持ちます。この特徴が、構造物の被害に影響を与えます。本研究室では、このような地震の発生メカニズムや地震動の伝播メカニズムを研究しています。

構造物の耐震性能の研究

地震の揺れに対して構造物がどのように揺れるのか、またどのような揺れに耐えることができるのかなどを把握するためには、コンクリートなど構造物を形作る基本的な材料の力学的な挙動や、柱や梁などの部材の動きについて分析すること、橋梁など構造物全体が構成するシステムの応答を知ることなど、小さな視点から大きな視点まで様々なスケールで構造物の動的特性を把握する必要があります。本研究室では、実験や数値解析を利用して構造物の耐震性能の解明に取り組んでいます。

次世代耐震化技術の開発研究

阪神・淡路大震災をはじめとする近年の地震災害の教訓を受けて、構造物がどの程度の地震の揺れに対して安全であるべきかというレベルは増加を続けています。従来の耐震化手法に基づいて対策を考えると、部材の断面を増やす、高強度の材料を使用するなど、建設コストが増加することになります。本研究室では、今までにない新しい機構を研究・開発して、安価で高性能な耐震対策の実現を目指しています。

研究室ウェブサイト

http://wwwcatfish.dpri.kyoto-u.ac.jp/