目的

都市社会工学とは、持続可能であり安全かつ国際競争力を備えた、人間活動の基盤となる都市システムの創造を目的とする総合工学です。

人類は豊かな都市文明を構築してきましたが、一方で、現代都市はグローバルな競争、大規模な災害リスク、未成熟な生活環境、有限なエネルギー資源などの重大な課題を抱えています。現代社会の都市問題を解決するためには、社会・経済活動と自然力や自然環境が織りなす複雑な相互関係を常に射程におきながら、高度情報通信技術をうまく活用した持続可能な都市システムを構築していくことが重要であり、成熟化社会における新たなアメニティの形成、自然的、社会的、経済的リスクのマネジメントなど挑戦すべき課題は非常にたくさんあります。

都市社会工学専攻は、高度で豊かな生活の質を保証しうる都市システムの実現をめざして、高度情報通信技術、社会基盤技術、エネルギー基盤技術の融合を図るために、都市工学・交通工学・ロジスティクス工学などの都市活動を分析する技術や、都市計画・交通計画などの計画技術、安全で持続可能な都市システムを実現するためのライフライン、地盤、河川などに関わる都市基盤を高度化する技術、都市ガバナンスおよび都市基盤マネジメントという概念の下での新たな都市エネルギー資源論を構築するための技術、さらには持続可能性評価を含めた都市システムの総合的なマネジメントをおこなうための方法論や技術の確立をめざしています。具体的には,1)都市情報通信技術の革新と社会基盤の高度化、2)高度情報社会における災害リスクのマネジメント、3)都市基盤のマネジメント技術の発展、4)国際化時代に対応した社会基盤整備、5)有限エネルギー資源論に立脚した都市構造の確立に取り組みます。

これらの理念を実現するために、高度情報社会における先端的都市システムの構築に積極的に貢献し、社会をリードしていくことのできる人材を育成することを教育の目標としています。すなわち、自らの進むべき方向性について明確な展望をもち、かつ、実社会の多様な局面に対応することのできる専門知識とそれに裏打ちされた柔軟性、創造性、勇気を持ち、これらをベースとして実社会においてリーダーシップを発揮することのできる自立した人材の輩出を目指しています。このため、これまで以上にクロスオーバーな学際領域の研究を促進することが重要と考え、社会人、留学生、他研究科・専攻、他学科、他大学学生など多様な学生の受け入れを積極的におこなっています。また、構造物マネジメント工学、地震ライフライン工学、河川流域マネジメント工学、ジオマネジメント工学、都市社会計画学、ロジスティクスシステム工学、交通マネジメント工学、地殻環境工学、都市国土管理工学、社会基盤親和技術論などの講座から成る広範囲にわたる内容の講義科目を確実に提供するとともに、プロジェクト調査や企業研修を自主的に企画・実施し、結果をまとめて発表するセミナー形式の科目を通して、学生の自主性・積極性・レポート作成能力・プレゼンテーション能力・ディスカッション能力の向上を図っています。